◆21:14
快速電車の発車を告げるアナウンスが流れる。
いつものように 何事もなかったかのように電車は動き出し 駅を出て行った。
◆21:16
車内にアナウンスが流れるが ホームにも流れているソレと入交り よく聞き取れない、多分 遅れたを詫びる内容なのだろう。ともかく 定刻から5分ほど遅れて普通電車が発車する。
走りだす車内からホームを覗く、視界を塞いでいた柱がズレて行き、その現場が見えてくる。
一人の男性が駅員に両脇を抱えられ ボーっと立ち尽くしている、すぐそばにはその男性を心配そうに見つめる女性がいる、あの悲鳴は彼女のモノだろう。男性も大した怪我などはなさそうで安心する。
判った事はその程度だ。
普通電車は駅を離れてい行く、例の二人はすぐに周りのヒトゴミと同化して見えなくなった。
私はケイタイを取り出し、たった今 目にした状況をメールに綴り始めた。
雨は 止んでいた。
→つづく