私には双子の娘がいる。

そろそろ5才になるので、もう遊べるだろうと「あやとり」を教えてみた。

ヨメから毛糸をもらい、適当な長さで小さな輪を2つと大きな輪を1つ作る。小さな輪を娘たちに渡し、私が大きな輪で手本を見せる。昔、母親から教わり何度も何度もやった「三段ばしご」。

 いや ムリ…

手が覚えているだろうと思ったが、うまくいかない。見かねたヨメが私から大きな輪を奪うと、「ゴムゴム」から始まる「連続技」を披露する。私は大きな輪をもう1つ作り、娘たちと一緒に「ゴムゴム」を教わった。

ヨメがあやとりに長けているコトが判ったので「二人で取り合うヤツ」をやってみる。

 いや ムリ…

ヨメも私もウロ覚えで 上手く出来ない。娘たちがこれを覚えれば二人で遊べると考えていたが、そうはいかなくなった。そんな事をグダグダやってる両親を見かねてか、娘たちはいつの間にか「ゴムゴム」の練習をしている。いつもように ある程度覚えた娘Aが娘Bに手解きしている。

数日後。
図書館であやとり本を借りてきた。そこには「三段ばしご」や「二人で取り合うヤツ」が載っている。私は久しぶりに出来た「三段ばしご」に感慨を覚え、「一段ばしご」もあるという事実に驚愕した。そして次に「二人で取り合うヤツ」をやる。本を見ながらアーだコーだと懐かしみながら相手の手から自分の手へ紐を移していく。一通り出来た所で娘たちに教えようとしたが、そんな事をワイワイやってる両親を見かねてか、娘たちはいつの間にか「ゴムゴム」の練習をしていた。
数日の間にヨメから教わったようで、難なくゴムゴムを仕上げる。娘Bはさらに「ゴムゴム」の前に「亀」をはさんでおり、「ゴムゴム」からは「飛行機」「兜」「ネクタイ」「馬の尻尾」と連続技を披露してきた。

いつもであれば、このような器用系な事柄は娘Aが優れているのだが、最近の娘Aはおりがみに夢中なので、あやとりは ある程度出来るようになった時点で飽きてしまったようだ。それより娘Bだ。いつもは上手く出来ないのでやめてしまうのだが、あやとりは続けている。連続技の最後は「指抜き」。娘Bは「ネクタイ」「馬の尻尾」と順に手を進め最後の仕上げに入る。

 「ネクタイ」「馬の尻尾」…「ネクタイ」「馬の尻尾」…「ネクタイ」…

「指抜き」の方法が解らないらしく、手前の技を繰り返している。それはそれで楽しんでいるのだが、見かねたヨメは最後の技を伝授する。

すると娘Bの手から小さな輪がスルリと抜け、そして とても嬉しそうな表情をした。

娘たちの喜ぶ顔は今まで何度も見てきたが、この時の表情は それらとは違い「何かを成し遂げた感」を含んだものだった。

そんな娘Bに触発されたのか娘Aが再びあやとりに興味を示す。連続技が出来るようになった娘Bが娘Aに手解きしている。

いつもとは違う光景に何か嬉しさを感じた。


親子のあやとりBOOK―むかいあっていっしょにあそぼう
親子のあやとりBOOK―むかいあっていっしょにあそぼう
※「連続技」は載ってません