◆20:45

今日は雨は降っていない。昨日とほぼ同じ時間に会社を出る。あの事故を綴ったメールはまだ書き終わっておらず、メールを書きながら地下道を歩き U駅へと向かう。


◆21:10(発車1分前)

メールに没頭していたにもかかわらず、いつも通りの道を間違いもせず歩いてきたのだろう。しかし いつもより時間が掛かってしまったようだ、U駅に着いた頃には、駅員たちにより快速電車に人が押し込められていた。昨日の出来事は まだ綴り終わっておらず、私はまた それを続ける。


◆21:11(発車定刻)

いつの間にアナウンスが流れていたのか、電車はゆっくりと動き出していた。
メールに没頭していた私はそれに気付かない。いきなり、ケイタイを持つ左腕に強い力が加わる、私の身体は何の抵抗も出来ずに、動き出した電車に引っ張られる、そして 倒され 引きずられる。ブザマにも、金魚のフンのようだ。
そして ソレは 主のもとを離れ 電車の連結部分を器用にすり抜け その下へと落ちて行った、電車は まだ動きを止めていない。
その直後 倒れた私の近くで何かが折れ潰れ砕ける音が聞こえる、今までに聞いた事もない異様なモノだ。それと同時に どこからか女性の悲鳴が聞こえる、それは昨日聞いた憶えがあるモノだった。…電車が止まった。
そんな状況にもかかわらず 私は何を思ったのかメールを見ようと 左手を見る…がそこにあるはずのモノがない。思い出したかのように左腕であろう辺りが痛みだす…。


→つづく